◆短編ブログ小説◆ -3ページ目

カレーライス

小さな事件。小学生ばかり狙った連続誘拐未遂。と、今朝の新聞にはそう

説明されている。犯人は逮捕されてないうえに、近所で起こった事件だけ

に、朝から妙な不安に襲われていた。

しかし、予感とは的中するものだ。午後4時。いつもであれば、帰宅時間

なんかにこれほど神経を研ぎ澄ますことも無かったのだ。何度もドアを開

けた。息子が帰ってくる気配は無い。4時には帰ってくるんだよ、今朝あ

れだけ約束した。息子が約束を破ったことは一度も無い。早く帰ってくれ

ばいいのに。公園で寄り道でもしてるのかな。自分に言い聞かせることに

よって、何とか冷静を保とうとした。しかし、心臓の鼓動は収まるどころ

か、より一層高まるばかり。まさかうちの子が。そんな事は考えたく無か

ったが、4時を30分過ぎても帰ってこない。何もする気が起きない。

ただ、息子が無事に帰ってくればそれでいい。それだけを考えた。

 

まだ帰ってこない。午後5時。その時、電話が鳴った。「警察です。」感

じた。自分の中で何かが崩れていくのを。まさか、そんな。しかし、現実

では警察から電話が来たのだ。本当にうちの子が。「お宅の息子さん、盗

難届けが出ていた財布を届けてくれたんですよね。学校の近くで拾ったら

しくて。お母さんが心配するからと言って家に帰りたがってましたけど、

いろいろ手続きとかありまして。褒めてあげてくださいね。心配してます

から。」よかった。改めて感じた、息子の可愛さ、大切さ。今晩はカレー

ライス作ってあげよう。

右ストレート

たて。自分に言い聞かせたが、体が言うことを聞かない。震えている。た

て。俺の力はこんなものじゃないはずだ。それともこれで終わりなのか。

読まれていた。右ストレート。これさえ当たれば。期待は外れた。こめか

み。かわされた後、強烈なカウンターをもらった。何も見えなかった。目

の前が真っ白になった。そして倒れた。これがとどめか。

事も無げにやってくれた。この試合の為に先生に仕込まれた右ストレート

は、相手を倒すところか、当たりもしなかった。

 

このまま終わるのか。呟く。カウント。声は聞き取れない。たて。もうだ

めだ。ごめんな、先生。やっぱプロにはなれないや。その時。動いた。あ
んなに打ちのめされたのに。急に体が軽くなった。何故だ。

とりあえず立ってみる。体中に、力が漲っていた。試合時間は少ない。よ

し、次の一発に賭ける。距離を詰める。パンチ。全て見える。もうやられ

ない。ひるんだ一瞬の隙を見逃さなかった。叩き込む。右ストレート。い

い感触だった。先生が最後に教えてくれたのはこのことだったのか。

でも、何故勝てたのだ。先生の遺影。そうか。今日は先生の一周忌でした

ね。先生に教わった右ストレートでプロに……。リングに涙が零れた。

ブログ始めました。

たった今、ブログを開設しました!

テーマは「短編小説」です。短編小説というと、今いちストーリーの把握

に苦しむってイメージがあったりします。すぐ終わっちゃいますから。で

も最近はネットにも多くの短編小説が掲載されていて、それらをじっくり

読んでみると、案外面白くて、自分でも書いてみようかと思ってしまった

んです。安易ですなぁ。うまく書けるかなぁ。

では、これからちょくちょく更新しますので、どうか宜しくお願いします

ね!