仲間
五秒と持たぬ間に仲間達が次々と斬り殺されていく。あれだけいた仲間
も刻々とその数を減らしていった。しかも、相手は一人だ。
三日月の如く鋭い刃物を構えその男が不敵な笑みを浮かべる。手が伸び
てくる。振り降ろされた刃の向こうに仲間の死骸が増え続けた。自分はた
だ椅子に座り、そんな仲間たちを眺めることしかできない。目の前の鏡。
鏡越しに、男の様子を伺う。男は刃物を選んでいるようだ。どれだけの時
が過ぎたのか。更に仲間が減っていく。それを、まるでゴミを捨てるかの
ように処理する、新しい女。今までありがとよ。最後に仲間へ呟いた。
「こんな感じでいいでしょうか? さっぱりしましたねぇ」
久し振りの散髪だ。すっきりした気分で美容室を後にした。