期待 | ◆短編ブログ小説◆

期待

一期一会。そんな言葉が相応しい出会いだった。元々、その合コンでは一

番乗り気が低かった女の子。何となく暇だったから付いて来たそうだ。年

下だったが、自分より、はるかにしっかりとしているように見えた。音楽

の話で盛り上がった。むしろ、二人だけの世界と言ってもよかった。今度

行こう、そのライブ。頼まれると断れない性格だ。まぁ断る理由など無い

のだが。そうやって暫く二人で話しながら、携帯番号を交換。俺の合コン

ライフも終わりだ。やっと彼女ができる。そんな予感で胸が躍る。その日

から毎日、メールの遣り取りをした。来週の日曜日。俺の地元の湖までど

らいぶに行こう、と聞くとあっさりOKが出た。寝付けない日々が続いた。

 

 

上京してからというもの、全く彼女が出来なかった。今日は、そんな日々

にピリオドを打つ日。ぐっと腹に力を入れて彼女との待合せ場所に。時間

よりも早く着いたがそんなに待ってられるほど路駐も出来そうに無い。頼

むから早く来てくれ。きやがった。警察が。パトカーの助手席で理由を述

べつつ彼女を発見。なんと、パトカーにいる俺を見て逃げ出した。

仕方無く一人寂しくドライブ。そうか。あの娘、隠れ天然だったんだ。